「救急車の行く手をふさいでいます」 週50万件走る自動運転タクシーが起こした問題! 街で問われる新たな安全インフラとは
米国で加速するペダル搭載義務の撤廃

クルマ自身が周囲の環境を見極め、行き先までの道を選んで走る自動運転。その開発をめぐる世界的な競い合いが熱を帯びている。なかでも先頭を走る米国では、完全自動運転を街なかへ届けるための法制度見直しが進み、いよいよ「手動ブレーキをなくせるか」という踏み込んだ議論へ至った。
電子プログラムで速度を細かく整える自動運転車にとって、人間が足で踏み込む物理的なペダルは、構造として必ずしも要らない。こうした変化を受け、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2026年6月26日、車両総重量3500kg以下の軽車両に向けた基準「連邦自動車安全基準(FMVSS)第135号」の改定案を官報で提示した。自動運転システム(ADS)だけで走り、手動で動かす仕組みを持たないクルマについて、手足で扱うブレーキの搭載義務を解くのがその骨子だ。
もっとも、止まるまでの距離といった安全上の要件を下げるわけではない。足で踏む操作がない無人車を調べるため、NHTSAは物理アクチュエータで信号を送る試算手順を新たに定めた。あわせて、電気自動車(EV)の回生ブレーキを制動機能の一部として法的に組み込み、アンチロックブレーキ(ABS)を手動で切る仕組みを禁じるなど、細かなルールも整えている。駐車ブレーキに関しても、従来の摩擦式に限らず、ギヤを物理的に固定する方式での代用を認め、警告灯の表示義務も外した。
以前から申請を出せばペダルのない車両を走らせる道はあった。だが年間2500台という制限が立ちふさがり、量産やサービス展開の大きな壁となっていた。今回の改定でこの枠が外れれば、実験から事業化へと向かう道筋が一気にひらける。
トランプ政権のもとで進むこの緩和策は、シフト表示(FMVSS第102号)やデフロスタ(第103号)、ワイパー(第104号)、タイヤ標識(第110号)の要件撤廃とも連動しており、米国が世界の標準づくりを力強く引っ張る動きが続く。

