「転生したらスライムだった件 第4期」EXIT兼近大樹 ちょっとズレている自分でも、リムルみたいに誰かを救いたくなる

日テレ系「フラアニ」枠ほかで放送中のTVアニメ「転生したらスライムだった件 第4期」。異例の分割5クールで展開される第4期は、7月より2クール目に突入し、ますます盛り上がりを見せている。

コミックナタリーでは今、改めて「転スラ」の魅力を発見するべく、特集記事を3本にわたり展開。1本目ではマンガ・アニメ好きで知られ、自身がまだ売れていなかった時期から「転スラ」のファンだったというEXIT兼近大樹に、その魅力を語ってもらった。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 小川遼

“キャラクターが物語を紡いでいる感”が好き

──兼近さんはもともと「転スラ」がお好きだそうですね。

最初はマンガで読みましたね。漫喫(マンガ喫茶)に通ってた時期……まだ全然売れてない頃に、ヨシモト∞ホール(現・渋谷よしもと漫才劇場)の近くの漫喫に寝泊まりしていた時期があって、転生系の作品を片っ端から読んでたんですよ。最初はライトノベルにいろいろ手を出してたんですけど、小説読むのがめんどくさくなっちゃって(笑)、「マンガで読んじゃおう」と思って読み出したのが「転スラ」で。

──どういうところに惹かれたんですか?

無敵感っすね。最初からの無敵感と、あと規模のデカさ。チマチマやらないというか(笑)。もちろん細かいところの描写もちゃんとあるんですけど、国の運営の話になっていく展開とか、仲間の強くなり方とかもスケールがえげつないんすよ。そういう爽快感が好きですね。ヴェルドラっていう超強いドラゴンと友達になるところから始まるっていうむちゃくちゃな設定なんだけど、「もうこれ以上強くなりようないんじゃないか」ってとこからさらに強くなっていく、限界をずっと超えていくのが楽しいです。

──普通なら、そこから始まってこんなに話が続くわけないんですけどね。

そうなんですよ! 最終回みたいなスタートだけど、そこから展開がどんどんあるのはすごいっすね。ほんわかした部分もありつつ、新たな敵が現れてシリアスな展開にもなっていったりする。そういうメリハリがあるところもけっこう好きですね。

兼近大樹

兼近大樹

──特に好きなエピソードを1個挙げるとしたら?

あれはアニメでいうと第2期かな? リムルが魔王に進化するくだり。ファルムス軍にシオンたち仲間を殺されて、ブチギレたリムルが神之怒(メギド)で全員ぶっ倒して魔王になるじゃないですか。普通、あんなことがあったらもう正気ではいられないと思うんだけど、もろもろ片付いたあとはケロッと元通りの日常が帰ってくるっていう(笑)。あの感じが俺は最高でしたね。

──シオンたちが一度殺されていることを忘れていそうな雰囲気すらありますよね(笑)。

普通は戻れないじゃないですか。闇落ちして、のちの物語が黒い感情を残したまま進んでいくパターンが多いと思うんですけど、「転スラ」にはそれがまったくない。それってたぶん、魔物の世界で起こっていることだから違和感ないんすよ。リムルはもともと人間だけど、もう魔物としての心になってるんだろうなと。テンペストの当主として、魔物のトップとして完全に仕上がっていて、「あれ、君もともと人間だよね?」みたいなところが見ていて痛快っすね。

──しかも、そこに無理やり感がないんですよね。物語の都合でそう見せているわけじゃなくて、ちゃんと「そりゃそうだよね」と納得できるのがすごいと思います。

「作っていったら自然とこうなりました」みたいな感じがいいんですよね。なんか「こういうストーリーにしたい」というのを決めて作ってないんじゃないか、とすら思っちゃうんですよ。ただただリムルを動かしていって、起こった出来事を記録しているだけみたいな。キャラクターが物語を紡いでいってる感が伝わってくるんで、僕はそこがすごく好きですね。

ディアブロのズレっぷりに共感する

──お気に入りのキャラクターは?

いや、マジムズいんすよね。エピソードによっても違うんですけど……うわーどうしようかな。ソウエイとかにしとこうかな。僕、スロットとかパチンコも好きなんすけど、ソウエイ出てきたらちょっとテンション上がりますから。あとは、あいつがけっこう好きです。蜥蜴人族(リザードマン)のガビル。

ガビル

ガビル

──ガビルは僕も大好きです。

ガビル、かわいいっすよね! 戦いの強さとは別で、あいつの場合は気持ちの面での成長率がえげつないんで。そういう意味ではゴブタとかも好きなんですよ。そっち系の、気持ち系のやつ。それで伸びていくやつはけっこう好きっすね。

──少年マンガっぽいキャラクターですよね。

そうそう。そこがリムルとちょっと違うところで、あのアツい感じはいいっすよね。「少年マンガっぽい」でいうと、あいつもそうなんですよ。勇者マサユキ。あいつ、「転スラ」じゃなかったら主人公なんすよ。そいつがモブっぽく出てくる感じがいい(笑)。

──確かにそうですね。チートすぎるスキルを持っているのに、なぜか脇役としての収まりがいいという。

ひと昔前のマンガだったら完全に主人公じゃないですか。ちょっと間抜けなやつがすごい結果を残して、みんなから愛されるみたいな。昭和・平成の主人公がここに来てモブかい!っていう、一周回った感じが面白いっすね。

──女性キャラクターではどうですか?

うーん……シュナかなあ。

シュナ

シュナ

──髪色も同じですしね。

そうです。割とピンクの子を好きになるフシはありますけど、シュナはちゃんとかわいいっすよね。ベタにずっとかわいくいてくれるってのがいいです。しかも仕事もできて、料理上手で気も利く。でもちょっと独占欲が強い感じ? あんなん現実にいたらたまんないっすよ。ちょっと悪さしたときに怒られたりしたら、もう最高っすよね。

──ご自身の立ち位置的に共感できるキャラクターなどはいますか? 「こうありたい」でもいいんですけど。

俺がなりたいのはソウエイなんです。みんなを裏から支えているあの感じがよくて、ああいう存在になれたらいいなあって。でも、今の自分だったら誰かなあ……わかんないですけど、人と会話していて、周りのみんなが当たり前としていることとのズレを感じることがすごく多いんですよ。それでいうとあいつかな……ディアブロ。あいつ、ズレてるじゃないですか。

ディアブロ

ディアブロ

──確かに(笑)。

もちろん、あんなに強くはないですけど。ここは強調しといてください。強さは除く(笑)。僕自身、誰かのためを思ってしたことが間違いだったことも多かったですし、普通の世界に生きていないせいで日々「ちょっとうまくいかんな」と感じることは多々あります。

──お笑いの世界と外の世界でギャップを感じるということですか?

いや、育ちじゃないですか? 生まれ育った環境が人とちょっと違うんで、お笑いの世界に入ってもズレてましたし、社会生活にもうまく溶け込めなかった。だからディアブロの、よかれと思って必死にがんばろうとする純粋さが空回りしちゃう感じとかは、見ていてもどかしいんですよ。「もっとうまくやれば!」って思いながら……。

──「でもやれないんだよね」ということも理解できちゃう。

そうなんですよ。で、そのズレに自分ではあんまり気づいてないっていうところもまたよくて。僕は気づいちゃってるから(笑)、そこはまたちょっと違うんですけど。

物語の始まり方が衝撃だった

──「転スラ」全体を俯瞰したときに、「何編が好き」とかはありますか?

一番衝撃だったのは、やっぱ最初ですね。物語の始まり方。ファンタジー系のロールプレイングゲームをやって育った40代とかのおじさん世代は、もうドストレートに喰らうじゃないですか。で、その人たちにいろんなゲームを教えてもらってきた僕ら世代もドストレートに喰らう。その感じがたまらなかったっすね。「スライムがめっちゃ強い」っていう設定がまず衝撃的だし。

兼近大樹

兼近大樹

兼近大樹

兼近大樹

──しかも、意味もなくスライムがなぜか強いんじゃなくて、最初はちゃんと何もできないところから始まりますからね。食べることしかできないっていう。

そこに大賢者(現:智慧之王)がついてる、っていう設定も衝撃でしたね。何か困ったことに直面したときにリムルが自分で考えるんじゃなくて、全部大賢者が解決しちゃうっていう(笑)。そのおかげで豪快な物語に仕上げられるんですよね。1つひとつ経験と知識を積み重ねて乗り越えるんじゃなくて、全部の答えを持ってるやつが常に助言をくれるから、考えたり工夫したりする手順をショートカットして全部うまくいっちゃう、っていう爽快感がある。

──画期的ですよね。常にヘルプ機能を呼び出せるような設定といいますか。

あと気持ちよかったのが、RPGにはレベル上げの概念があるじゃないですか。その感覚で見ると、自分が持っている魔物たちのレベルがどんどん上がって強くなっていく、っていう快感があります。名前をつけることで魔物が進化するくだりとか、「こいつがこんなに強くなって!」みたいなのが気持ちよすぎましたね。

「転生したらスライムだった件」第1期より。

「転生したらスライムだった件」第1期より。

──手持ちのカードがどんどん強力になっていくみたいな。

そうそう! そのカードをずらっと並べて、うっとり眺める幸せみたいなものも味わえる(笑)。ただ単にお話を見せられているだけじゃなくて、自分が物語の中に入って関わっているかのような没入感があるんすよね。だからやっぱり、始まりが一番興奮したかな。一気に強くなれた感じがして。

──ゲームで慣れ親しんだ世界観が引用されることで、物語が他人事ではなく自分事になるような感覚は確かにありますね。ゲームは自らコミットするものなので。

だから逆に、RPGに触れてこなかった人たちがどういうふうに「転スラ」を理解して楽しんでいるのかは気になりますね。話を聞いてみたい。

──むしろこれが原体験になって、のちのちRPGに触れたときに「『転スラ』のやつだ!」となる可能性はありそうな気がします。

それだ! 絶対楽しいわそれ! あー、それはいいっすね。確かに逆側の人はそうかもしれない。

2026年7月17日更新