食を整えることは、生き方を選び直すこと。22歳の私がアトピーと向き合う中で見つけた、滋賀から描く食と暮らしの未来
心と身体が喜ぶおうちごはんクリエイター「Coco Neiro(ここねいろ)」の馬込ここねさん。滋賀県高島市を拠点に、発酵や野草、松を取り入れた食と暮らしを伝えています。
幼い頃から料理やものづくりが好きだったここねさんは、料理を学ぶため滋賀を離れ、岡山県の高校へ進学しました。しかし、生活環境の変化などが重なり、幼少期から抱えていたアトピーの症状が悪化。高校卒業後には、約4ヶ月間、昼夜逆転気味の生活が続き、風が肌に当たるだけでもヒリヒリと痛みを感じる状態に。夏でも寒さを感じ、ニットのカーディガンを羽織って過ごすほど、心身ともに苦しい日々を経験します。
滋賀へ戻り、食や自然、自分の身体と向き合い直したことで、症状だけでなく、生き方そのものへの考え方が大きく変わっていったといいます。
2026年4月にはCoco Neiroとして新たなスタートを切りました。食を入り口に、自分の好きや得意を生かし、自分らしい人生を選べる人を増やしたい。ここねさんがアトピーと向き合う中で見つけた、食と暮らしの未来について伺いました。
自然と手づくりが身近にあった、高島での暮らし
──幼少期は、どのような環境で育ちましたか。
滋賀県高島市今津町で育ちました。箱館山の麓にあり、鳥や虫の声がよく聞こえる、緑の多い場所です。琵琶湖までも車で5分ほどなので、海津の方へ遊びに行くこともありました。
実家は、両親が2002年にハーフセルフビルドしたフィンランドパインのログハウスです。翌年に私が生まれたので、自然の木に囲まれた家で、自然と共に暮らしてきました。
子どもの頃から、手を動かして何かをつくることが好きでした。紙粘土で小さなオムライスをつくって絵の具で色を塗ったり、母とミシンでブックカバーやヘアバンドをつくったりしていました。
──料理が好きなのも、そういった手作りの一つなんですね。
はい。母と一緒におやつやごはんをつくることが、日常の中にありました。
自分でつくったものを食べられて、家族や周りの人にも喜んでもらえる。上達したことが目に見えて分かることも、料理が好きになった理由です。
小学4年生の時には、授業参観の「2分の1成人式」で、料理人になりたいと発表しました。特定のジャンルのシェフというより、父にログハウスを建ててもらって、自分の好きな食と空間を提供できるカフェを開きたいと、子どものころから思っていました。
料理を学ぶために滋賀を離れ、見えたもの
──高校では、滋賀県を離れて料理を学んだのですね。
既に料理を仕事にしたいと考えていたので、調理を学べて、ソフトテニスも続けられ、高校生活も楽しめる学校を探しました。そこで、岡山県の高校に出会い、寮生活をしながら3年間の中で、家庭料理、日本料理、フレンチ、中華などを幅広く学びました。
一方で、高校生活の約2年間はコロナ禍と重なりました。調理実習や学校行事が制限され、予定されていたホテル実習や海外への修学旅行もなくなりました。
学校では料理の技術を学べましたが、幼少期から食生活の一部として取り入れていた発酵食については、教科書で触れる程度でした。家では味噌を仕込み、土鍋でごはんを炊き、手づくりの発酵調味料を使うことが当たり前の食生活だったので、一般的ではないのだと家を離れて初めて気づきました。
華やかな料理をつくることよりも、素材を大切にした日々のごはんを伝えたい。
高校で幅広く料理を学んだからこそ、自分が本当に届けたい食の形が見えるようになりました。
高校卒業後、人生のどん底で見つけた「足元の宝物」
──アトピーが最も悪化したのは、いつ頃だったのでしょうか。
アトピー性皮膚炎と診断されたのは1歳頃です。症状には波がありましたが、小学6年生の終わり頃と、高校時代、そして高校卒業後に大きく悪化しました。
高校入学時は、環境や食生活が変わったことで、咳や湿疹が出るようになりました。休校期間だった2か月ほどで体重が約8キロ落ち、外出ができなかった時も。
私の中で一度は中退も考えましたが、なんとか乗り越えました。
最もつらかったのは、高校を卒業した2022年の春から夏にかけてです。張っていた気が緩んだんだと思います。全身に症状が出て、風が当たるだけでも痛く、傷から浸出液が出てくるような状態でした。
外に出たくない。人にも会いたくない。「どうして私が、こんなにつらい思いをしなければならないのだろう」と、何度も泣きました。
──そこから、どのように気持ちが変わっていったのでしょうか。
滋賀へ戻り、母が長年続けてきた発酵食に加え、野草や松のある暮らしを取り入れるようになりました。野草や松、塩の大切さについて学ぶ中で「症状は身体からのサイン」という考え方に出会いました。
それまでは、かゆみや肌の状態を、自分を苦しめる敵のように感じていました。でも、身体は意地悪をしているのではなく、必要があって反応している。そう捉えられるようになったことで、気持ちが凄く楽になりました。
「かゆみがある時の私も私。今の自分は、その時点でのベストな状態」
そう思えるようになり、自分の身体を責めることがなくなりました。
足元に生えている植物、家族とつくる食事、裸足で地面に立つ時間。ずっと身近にあったものが、かけがえのない宝物に見えるようになりました。
アトピーを経験しなければ、ここまで深く自分の身体や心、暮らしについて考えることはなかったと思います。当時は本当につらかったですが、今はその経験も、現在の私につながる大切な時間だったと受け止めています。
※ここで紹介しているのは、ここねさん個人の経験と考え方です。症状や体質、必要な医療や治療は一人ひとり異なります。
食を整えることで、自分の人生を選び直す
──ここねさんにとって「食を整える」とは、どのようなことでしょうか。
食べることは、生きること。日々のごはんで、私たちの身体はつくられています。同時に、食べるものや過ごす環境は、心にも影響していると感じています。心と身体はつながっています。自分の身体はどう感じているのか。心地よいのか。無理をしていないか。自分に問いかけながら選ぶことが大切です。
食に向き合うことを通して、自分が本当に望んでいる人生についても考えられるようになりました。自分の身体や心の声に気づき、自分に合う生き方を選び直していくこと。その入り口に、食があるのだと思っています。
127回のワークショップを経て、Coco Neiroとして独立
──現在の活動は、どのように始まったのでしょうか。
高校卒業後、母と企画主催し、家族と一緒に、発酵、野草、松を取り入れたワークショップを始めました。4年間で通算127回、延べ1,771人の方に参加していただきました。
対面の参加者は、滋賀県内だけでなく、関西・関東・九州など全国から来てくださいます。オンラインでは、アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスなど、海外から参加してくださった方もいました。オンラインに参加後「実際に会いたい」「高島へ行ってみたい」と足を運んでくださる方がいることも、大きな喜びです。
ワークショップでは、料理の作り方だけではなく、自然に触れ、自分の手を動かし、同じ場を共有する時間を大切にしています。
先日、独立後に初めて同世代の方へ向けてワークショップを行った際、「おいしいの幅が広がった」と言っていただけたのは嬉しかったです。
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知らなかった野草が食べられること。手づくりの調味料が、思っていたより簡単につくれること。それが、おいしい体験につながることで「自分でもやってみたい」「次はもっと深く学びたい」という気持ちが生まれます。その小さな変化が、とても嬉しいです。
2026年4月3日には、両親が自営する「あとりえどりー」から独立し、「Coco Neiro」として個人事業を始めました。「Coco Neiro」には、私自身の名前(ここね)と、一人ひとりの個性を表す「色」を掛け合わせています。食や手づくり、自然とのつながりを通して、自分の好きなことや得意なことに気づき、自分の色で毎日を生きる力を磨いてほしい。それが、Coco Neiroの理念です。
20代へ、体調を崩す前に届けたい
──これから、特にどのような人へ活動を届けたいですか。
これまでの参加者は、40代から60代の方が中心でした。子どもが生まれたことや、自身の体調の変化をきっかけに、食や暮らしを見直そうとする30代の方。また、親子で参加する方もいらっしゃいます。
一方で、独立するまでの4年間の中で20代の参加者は、ほとんどいませんでした。20代は無理もきくので、自分の身体や心を後回しにしてしまいやすい時期だと思います。体調を崩してから気づくのではなく、その前に、日々の食や自分の心に目を向ける選択肢を知ってほしい。
食を入り口に、自分の好きや得意を知り、それを誰かに届ける方法があることも伝えていきたいです。食や暮らしについて複数の選択肢を持つことで、その次の子ども世代にも明るい未来が広がることを伝えられたら嬉しいです。
高島から広げる、挑戦とつながりの場
──今後、どのような活動を形にしていきたいですか。
まずは、現在、拠点とさせていただいている「STAR FORESTマキノグランピングヴィラ」(高島市マキノ町)の場を整えたいと考えています。自然に囲まれ、観光地として有名なメタセコイア並木からも近い一方、メイン通りから少し離れた静かな場所です。
ここで、発酵や野草を気軽に体験できるワークショップを開催するだけでなく、シェアキッチンやシェアスペースとして、地域の人が新しいことに挑戦できる場所にしたいと思っています。
また、宿泊のお客様へ発酵×野草×松の特製モーニングもご提供させていただきます。
そして、オンラインサロン「巡るてしごとの場」も9月よりスタートするために準備中です。リアルとオンラインの両方で、挑戦と知恵が巡る場所を育てていきたいです。
さらに、車をDIYした「Coco Neiro号」で全国を巡ることも目標にしています。私は移動することや、新しい世界を見ることも好きで、2025年秋には、一人で約1,700キロを運転し、四国や九州で出張ワークショップを開催しました。オンラインで出会った人が高島へ来てくれることもあれば、こちらから会いに行くことで生まれるつながりもあります。自分から全国へ出向き、その土地の食材や植物、人の知恵に出会い、次の場所へつないでいきたいと思っています。
自分の色で、毎日を楽しめる人を増やしたい
──Coco Neiroを通して、最終的にどのような未来をつくりたいですか。
一人ひとりが、自分の好きなことや得意なことに気づき活かすことで、自分らしい毎日を送れるようになることです。
私自身、アトピーを経験したことで、当たり前だった暮らしを見直し、自分が本当に大切にしたいものを、一つずつ選び直してきました。食を整えることは、身体だけを整えることではありません。自分の身体と心の声を聞き、自分の人生を、自分で選ぶことです。そんな人たちが増える未来を、滋賀県高島市からつくっていきたいと思っています。
クラウドファンディング挑戦中
「アトピーから学んだ【発酵×野草×松のある暮らし】を滋賀から全国に届けたい!」
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実施期間:2026年6月21日〜7月31日
プロジェクトページ:https://for-good.net/project/1003760/
Coco Neiroについて
Coco Neiro
代表:馬込ここね
公式サイト:https://coconeiro.space/blog/
Instagram:https://www.instagram.com/coconeiro__/
ワークショップ、出張講座、コラボレーション、取材などのご相談は、公式サイトよりお問い合わせください。
▼お問い合わせフォーム
https://coconeiro.space/blog/323-2
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