映画監督・吉野耕平が、Prime Videoで配信されている自身の監督作「沈黙の艦隊 北極海大海戦」を新発売のMini LED 4K液晶ビエラ「W97C」で鑑賞した。かわぐちかいじのマンガを実写化した映画「沈黙の艦隊」シリーズ第2弾となる同作では、極寒の氷の世界・北極海を舞台に、前作で“やまと”として日本からの独立を宣言した艦長・海江田四郎が新たな戦いを繰り広げる。プロデューサーとしても参加する大沢たかおが海江田を演じた。
新機種での迫力ある映像・音響を体感した吉野は「よくぞここまで……」と驚きを隠しきれない様子。「ここまで映るとすると、クリエイターとしても言い訳ができない境地にまで来たのだなと」と苦笑いしつつも、画作りのこだわりを振り返っていく。自身にとっても初の“続編”となった本作への思いや、今後控えるシリーズ完結作への意気込みも聞いた。
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取材・文 / 大畑渡瑠撮影 / 間庭裕基
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パナソニック「Mini LED 4K液晶ビエラ W97Cシリーズ」(7月17日発売)
Mini LEDバックライト制御技術を進化させた、Fire TV搭載Mini LED 4K液晶テレビのフラグシップモデル。新開発のBright Black Panel Ultraを搭載し、「高輝度Mini LEDバックライト」「高輝度・広視野角シート」の採用によってピーク輝度が従来比約2倍に高まったほか、広い視野角を実現した。また量子ドットシートにより広色域化し、パネル制御はWエリア制御Ultraにより高コントラスト化。分割数を従来比約2倍に細分化した「バックライトエリア制御PRO」と、低輝度領域まで緻密にバックライトを制御する「ミニマムルミナンスコントロール」によって、引き締まった黒と黒つぶれのない豊かな階調表現が可能に。これにより、明るいシーンの多いスポーツやバラエティから、暗部表現が求められる映画・ドラマまで、コンテンツを問わず“黒の締まり”と鮮やかな色彩を両立した映像を高画質で楽しむことができる。
また音質面ではイネーブルドスピーカーを含むマルチスピーカーシステム「360立体音響サウンドシステム」や、独自の音声処理アルゴリズム「フロントファイアリングエミュレーター」を導入。これにより音抜けがよくクリアな音を再現し、声の定位をはじめ、映像と一体となった自然で臨場感あるサウンドを楽しむことができる。OSにはFire TVを採用し、観たいコンテンツをより直感的な操作で探せる新UIも。地震に強く倒れにくい転倒防止スタンドを採用し、安全性にも配慮している。
続編ではクールな部分から感情が熱くなっていくような振れ幅を
──「沈黙の艦隊 北極海大海戦」は吉野監督にとって初めての“続編”となったわけですが、企画を立ち上げた当時はプレッシャーに感じましたか?
そうですね。原作が非常に偉大な作品で、僕も含めてファンも多い。すでに完成されている世界を実写化しようとすると、どうしても風当たりは強くなるだろうとは思っていました。ただ大沢たかおさんという、実写化が非常に困難なもう1つの作品(「キングダム」シリーズ)を成功させた盟友が近くにいらっしゃる。また海上自衛隊の協力も得られることになりましたので、そんな恵まれた環境で作れることもないだろうと。だから「失敗したら僕のせいです」なんて、変に気負いながら挑んでいたように思います(笑)。
──大沢さんも映画公開時の取材で「前作よりも熱量が明らかに増えていた」とおっしゃっていました。
前作は“やまと”の存在をまず明らかにしつつ、ライバルである“たつなみ”との違いを明確にする必要があったので、“やまと”の乗組員は静かに、感情を出さない冷たい存在として描いていました。それが今作ではいよいよメインのキャラクターになるので、クールな部分から感情が熱くなっていくような振れ幅を出さなければと。“やまと”の乗組員たちも、前作ではある種全員が同じ人間に見えていてもいいくらいだったのですが、今回は1人ひとりが熱を持った人間なのだとわかるように構築しています。撮り方としても臨場感を出していくように意識しましたし、芝居もより動的に、熱を帯びたようにやってほしいとお願いすることが多かったと思います。
──今作では乗組員1人ひとりの表情がより見えるようになっていますよね。
そこは映像の見せ方としてもこだわった部分です。前作だと潜水艦モニタの付近にいる乗組員たちは空間と一体化して見えるように心がけていたのですが、今回は1人ずつ意思を持っていて、我々と同じく恐怖や喜びを感じるように描いていますので、そのあたりの“枷の外し方”は常に考えていました。
──前作もそうですが、潜水艦の中でのアクションシーンは限られた空間で展開されますし、海江田もずっと動かずに立っているわけですよね。その中で躍動感を生み出していくのはとても難しいように思うのですが、どんな工夫をされたのでしょう?
(中村蒼演じる)山中栄治ら幹部クラスの人たちも海江田と同じように立っているので、トラブルが起きたときの彼らのリアクションを切り取ったり、そこにカメラが付いて行くことでほかの人の顔を映していくという工夫をしています。また今作では今まであまり使ってこなかった魚眼レンズや、ドキュメンタリー番組で導入するような固定カメラをいろいろなところに仕込んでリアリティを狙うこともしましたね。第2シーズンということで少しアングルを自由に、トリッキーさを入れることで、飽きさせないようなバリエーションを生むことができたのかなと思います。
──確かにその意図は、中盤でやまとがキングへ撃った魚雷がアレキサンダーの上を通過するシーンに表れていますね。魚雷の通過を予感した乗組員が天井を見上げる様子が、上部からの俯瞰ショットによって臨場感たっぷりに表現されています。
前作で多少は“やまと”を知ってもらった人たちがメインの観客となるので、画角のパターンを広げてトリッキーでもいいから乗組員の感情を狙っていく。どういう位置関係かもわかりやすい構図になっています。
──テレビで何回も観ることで気付く点がたくさんありますね。なお本シリーズは第3弾の製作や、原作の最後までを描き切ることがすでに発表されています。
“やまと”がニューヨークに到着するのですが、そこからまた厳しい立場に追い詰められ、長い戦いの幕が開けます。クライマックスに向けて、狭い潜水艦内の中での緊張の高まりや悲喜こもごもをより色濃く出していきたいです。一方で地上での政治の戦いもまた比重が増していく。ある程度の登場人物は紹介し終えているので、人と人とのぶつかり合いや、どう決着に向かってヒートアップしていくかが見どころかなと。
──アクション面もスケールが増していく?
映像的なクライマックスを作るのが課題にもなっています。読み物としてのマンガと、時間を体感する映像作品では盛り上げ方が変わってくるので、内面の高まり+映像の圧力は欲しいところ。原作のかわぐち(かいじ)先生とも相談して作っていけたらと思います。
作り手的に「もう少しやっておけばよかった」という思いも
──ここからは「W97C」で「沈黙の艦隊 北極海大海戦」を鑑賞しながらお話を伺えればと思います。まずはアレキサンダー戦に勝利した“やまと”が氷上に浮かび上がるシーンをご覧いただきましょう。ここでは空に浮かぶオーロラがきれいに映し出されます。
非常に悩んだ場面だったのですが……よくぞここまで映してくれたなという思いです。
──悩んだ、というと?
上空にオーロラがあり、その光のみで人物の表情を見せていかなければならない。原作マンガやアニメだと非常にシンプルなシーンなのですが、実写になった途端にバランスを取るのが難しくなるんです。オーロラはもともと撮影してきた実写映像をもとにCGで作り上げているため自由度は高いのですが、月もない中で人物や雪をどう見せていくのかを考えるのが大変。人の肌色も本来は暗闇の中ではこんなに色が出ないのですが、ドラマ的な盛り上がりを作るとなると真っ黒というわけにもいかず。
──正解がないような難しい作業ですね。
最初は絵画的に作ろうと“色を出す”ことを意識していたのですが、かえって夜っぽさが出なくなるという問題にもぶち当たり、ナチュラルな画面を作ることにとても苦労しましたね。「布団に入ったときに手が何色に見えているのか」みたいな……そういった感覚から画作りを始めなければいけなかったんです。
──なるほど。
また風に吹かれている感じを演出するために細かい雪を降らせたのですが、オーロラをまたぐと一瞬黒く見え、人物に乗るとまた白く見えるというあんばいに気を配りました。画面を止めると見えないけれど、実は1コマだけ映っているような細かい粒子も描写したり。現実とリアリティのはざまにあるようなシーンになりましたね。このテレビだと輝度も上がっているので、わりと見えやすくなっていると思います。ただここまで見えるのであれば、作り手的に「もう少しやっておけばよかった」という思いもあって。例えば制作時にはオーロラ+人間の寄りの表情という構図をメインにしようと舵を切ったのですが、ここまでくっきり見えるのなら奥に見える雪景色をしっかり作り込んで、引きのカットを見せるのもよかったなと……。そのほうが画としては美しくなるんですよ。
──制作を考慮し直すような、そんなテレビにまでなっているんですね(笑)。
本当にそうですよ。映画のように、ある程度全員が共通の画面で観ることが保障されていると、おのずと人物の顔のサイズは決まってくる。でもテレビはいろいろなタイプがありますからね。「寄りでサイズを大きくしておかないと表情まで見えないのではないか」と、変な固定観念を持って作ってしまうこともあります。
──またノルウェー・スヴァールバル諸島の場面では前半にピンク掛かった雪景色も映りますね。
暗いけど華やかという世界にしたかったんですが、このテレビでは非常にきれいに映していただいて安心しました。人間が肉眼で見たときの「ここを集中して見たい」という意識を利用しながら、「引き立たせる部分 / そうでない部分」を探っていった場面ですね。CGで作っていくと、どうしても1枚の静止画としての完成度を目指したくなるんですが、あえて肉眼で見たときの見えづらさ、光のまぶしさをリアルに表現しながら「どこに観客の意識を集中させるか」を考えることが多かったです。「フルCGのゲームであればすごく素敵に見える画作りだけど、実写と共存するときにはちょっと……」と思うこともあり、制作陣も思考が行ったり来たりすることがありました。








