佐藤愛里さん(22) は「家に居られずネカフェ生活」を借金の口実に…初対面から1か月で250万円 公判でも明らかにならなかった“被害者の置かれた状況”《高田馬場刺殺・高野健一被告に懲役16年判決》
東京都新宿区・高田馬場駅付近の路上で2025年3月、「最上あい」名義でライブ配信をしていた佐藤愛里さん(当時22)を刺殺したとして、殺人罪などで起訴された高野健一被告(44)。 【写真を見る】ピンク色のTシャツを着て体育座りをする学生時代の高野被告ほか
7月15日に東京地裁で開かれた判決公判にて、懲役16年の有罪判決が言い渡された。検察官は懲役20年を求刑し、弁護人は懲役9年が相当と意見を述べていた。 判決では、犯行の残虐性や、被害者の尊厳を踏みにじる行動が指摘された。その一方で、多額の金銭を貸しながら返還されずに追い詰められた状況について、裁判官からは「同情する余地はある」とも判示された。 高野被告はなぜ事件を思いとどまることができなかったのか。高野被告を取り巻いてきた境遇について、傍聴を行った裁判ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第1回】
家族との会話は「ほとんどなし」
高野被告の被告人質問では、高野被告の生い立ちや佐藤さんに出会うまでの経緯などが明かされた。本人が法廷で供述した内容をもとに、彼の生い立ちを追う。 高野被告は2人兄弟の兄で、母親は事件が起きた2025年の年末に亡くなったという。大学に進学したものの、友人ができずに中退。その後、派遣社員を経て正社員として5~6年勤務したが、長時間労働や上司との人間関係から精神を病み、自殺を図った。 幻聴などが聞こえ、統合失調症(事件後の精神鑑定では自閉症スペクトラム)と診断された。会社を退職したのちは、事件の少し前まで仕事をしていなかった(事件当時は就労継続支援A型事業所に勤務)。自殺未遂の後遺症で身体の一部には障害が残り、障害者年金を受給して、実家に生活費を入れながら引きこもりに近い生活をしていた。 対人関係はネット上にしかなく、家族と同居しながらもほとんど会話をすることはなかったという。そんななかでも少しずつ貯金を続け、佐藤さんの配信に触れる2022年12月ころには480万円ほどの貯金があった。
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