松下洸平が新曲「Journey」を7月17日に配信リリースした。
ソニー・ミュージックレーベルズ移籍第1弾作品となる「Journey」は、作詞を松下が、作曲を松下とShin Sakiuraが手がけた楽曲。“何気ない日常も、君といればまるで旅に出たように”と幸せなバイブスがあふれる、ソウルフルなハッピーソングだ。
松下洸平名義での音楽活動を始めて5年、松下は「正直今が一番楽しい」と語る。その充実の理由とは? 音楽ナタリーでは松下本人に、最近の自身のモードについて、そして今作の制作エピソードについて、じっくりと話を聞いた。
取材・文 / 真貝聡撮影 / 笹原清明
刺激的な2作品、有意義な時間
──この記事が出る頃には「銀河の一票」の最終回が放送されていますが、あと1話で本当にすべての伏線が回収されるのかドキドキです(※取材は6月下旬に実施)。
ははは、そうですよね。僕はひと足先に最終回を観ましたけど、とても美しく話がつながっていて。黒木華さんや野呂佳代さんのお芝居も素晴らしくて、思わず爆泣きしました(笑)。
──今期春ドラマの中でも特に話題になった作品だと思いますが、反響はいかがですか?
ありがたいことに「とても面白い」と言ってくださる方が多くて。それは僕がどうこうということよりも、蛭田(直美)さんの脚本を含めて作品全体のクオリティが高いからですね。選挙戦を題材にしたこれまでの作品とは違うベクトルで描かれているので、あまり政治に詳しくない方も夢中になっていただけているんだと思います。
──ほかにも松下さんはNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」にも出られていて、今年の上半期は特にお忙しかったのではと思います。
ここ数年は主演作を経験させていただく機会もありつつ、「銀河の一票」や「豊臣兄弟!」では、自分が引っ張るというより、周りの俳優さんたちのお芝居をじっくり見る機会が多くて。皆さん悔しいくらい素晴らしいので、自分も負けないように必死に食らいついてます。「豊臣兄弟!」で僕が演じる徳川家康は、まだそこまで多く登場しているわけではないので、自分もいち視聴者のような感覚で楽しくドラマを観ているんですけど、観れば観るほど皆さんに圧倒される。少し期間が空いてひさしぶりに撮影現場へ行ったときは、ちょっと大丈夫かな?って(笑)。
──プレッシャーを感じているんですね。
はい。毎回ニューレコードを叩き出すように皆さんの熱演が続いているので、本当にがんばらなきゃなと。それくらい刺激的な2作品に参加させていただけて、非常に有意義な時間を過ごしています。
僕にはそういう好奇心があったんだ
──ドラマの撮影以外には「豊臣兄弟!」のトークイベントやご自身のファンクラブイベント、そして海外でのお仕事と国内外を飛び回る機会も多かったと思います。
そうですね。トークイベントでは「僕らは視聴者の皆さんに支えられているんだな」と改めて感じました。応援してくださる方たちに恩返しできるよう、よい作品を作らなければと身が引き締まりました。ファンクラブイベントは、ライブとは違ってファンの方とダイレクトにコミュニケーションが図れたのがうれしかったです。また、海外での仕事もいくつか経験させていただいて、シンプルな感想になってしまいますが、世界は広いなって(笑)。あと、飛行機に乗っている時間も楽しくて。窓から大陸の上を通っているのを見ながら、「自分が行ったことのない場所がこんなにたくさんあるのか。1つでも多くの土地に行ってみたい」と思ったし、「僕にはそういう好奇心があったんだ」と知れたのは大きな発見でした。
──「ダ・ヴィンチ」のエッセイ連載「スフマート」の第1回でもフライト中の思い出を書かれていましたね。
はい。これまでずっと日本で暮らしてきて、遠出するのがあまり得意ではなかったんです。でも、いざ海外へ飛び出してみると知らない世界がいっぱいあって。そこにある暮らしや文化をもっと知りたいと思いました。何より、僕のことを知らない人たちに自分の音楽を届けたい気持ちがさらに強くなりましたね。
──3月には香川のライブイベント「Hello Arena 2026」、6月には岩手の音楽フェス「CHAGU CHAGU ROCK FESTIVAL 2026」に出演されましたが、振り返っていかがですか?
僕の音楽を知らない人たちがたくさんいる環境で、どうすれば楽曲の魅力を届けられるのかを見つめ直す機会になりました。2024年から音楽活動を少しお休みして、今年に入ってレーベルを移籍したこともあり、今は新しい自分を構築していく段階。まだまだ手探りの部分はあるんですけど、ステージに立つたびに「あ、これが正解かも」と見えてくるし、「やっぱりライブは最高だな」と感じます。時間が許す限りいろんなところに行って、新しいお客さんと一緒に楽しい空間を作っていきたいですね。
──共演者のライブをご覧になったり、バックヤードでコミュニケーションを図ったりする機会はありましたか?
先日の「チャグロック」でいうと、僕の前にPenthouseがパフォーマンスされていて。個人的にファンなので、バックステージでライブを観てました。自分の出番が終わったあと、すぐに会場を出ないといけなかったんですけど、大好きな堂本剛さん(.ENDRECHERI.)も出演されていたので、楽屋にお邪魔してウザ絡みしてきました(笑)。
──軽い絡みではなく、ウザ絡みを(笑)。
わ~!っていっぱいボディタッチしましたね。剛さんはめちゃくちゃお優しい方なので「またごはんに行こう」と言ってくださって。普段なかなか会えないアーティストさんとご一緒できたり、特等席でライブを観れたりするので、それが面白いですよね。今後もさまざまなイベントやフェスに参加したいです。
確固たる自信が僕自身を守ってくれる
──先ほども触れられたように、松下さんは2024年から音楽活動をお休みされていましたが、そこにはどんな理由があったのでしょう?
俳優業を忙しくさせていただいているのもあり、もの作りをするうえでは自分のメンテナンスも大切ですし、無理せずに創作意欲を高めていく時間にしたいと。かといって音楽のことを忘れていたわけではなくて、頭の中では「次はどういう曲を作ろうかな」「誰と一緒にやりたいかな」と常に考えていました。好きなアーティストさんの活動を見ながら自分に置き換えてみたり、ライブパフォーマンスのイメージを働かせたりして。ガーッと勢いよく活動していた頃よりも、いろんな未来を想像できたので、僕にとって大事なタームでした。1年半の間に想像していたことを、これからいくつ叶えられるか楽しみです。
──音楽活動を休んでいる間に、刺激を受けたアーティストはいますか?
僕がナビゲーターを担当した「with MUSIC」で、矢沢永吉さんとお会いできたことは、とても貴重な経験でした。矢沢さんとお話もできて、パフォーマンスも生で観させていただいて。今も音楽に対してピュアに向き合われている矢沢さんの姿からは、すごく刺激を受けました。長く続けることの難しさと、続けてきたからこそのすごみを目の当たりにして「自分も辞めちゃいけないな」と強く思いました。
──ピュアといえば、矢沢さんは70代になっても常に音楽とステージのことばかり考えているので、そんな自分はおかしいのではないかと自問自答した結果、やっぱり音楽以外に夢中になれるものがないと気付いた、と話されています。
いやあ……すごいですよね。僕にはアーティストと俳優という2つのフィールドがありますけど、「音楽がうまくいかなかったから、じゃあこっちでがんばろう」というように、俳優業を“逃げ場所”にしたくはなくて。でも波はあるんですよ。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。それでも純真な気持ちで表現を続けることが一番大事だな、と矢沢さんとお会いして感じました。思ったようにできなくて情けなくなることもあるけど、逃げずに好きなことと向き合う。その意識は忘れずにいたいですね。
──音楽を逃げ場所にしそうになったことはありますか?
しかけたことはありますね。逆もしかりで、役者業がうまくいかなかったときに「大丈夫、自分には音楽あるから」と。そういう手札として2つの顔を持っておくのは自分の精神衛生上よくないと感じながらも、そう思ったほうが楽なときは確かにありました。
──それはいつ頃の話ですか?
要所要所であるんですよ。例えばライブが絶不調だったときとか、うまくいかなかった日があって。それでも表現者であることを辞めたくはないから、なんとかその日1日を終わらせるために「自分には芝居があるから」と思ってしまいそうになる瞬間はたびたびありました。でも、今はすべての曲の作詞作曲をやらせていただいていて。よくも悪くも僕の責任というか、自分が作る以上は、その結果を受け止めていかなきゃいけないと思っています。そのほうが自分には合っているというか、むしろ燃えるんだなと気付きました。こだわりを持って楽曲に向き合っているからこそ、たとえ自分が思い描いていた評価とは違う反応を受けたとしても、「今の自分にできるベストは出せた」と思える作品を作れている。その実感があることで、以前よりもブレずに音楽と向き合えるようになった気がします。
──アーティストと俳優のどちらかではなくて、どちらも本業として本気で向き合う。楽曲も最初から最後までご自身で手がけて責任を負うからこそ、前向きに取り組めていると。
そうですね。自分でイチから作るからこそ、制作過程も楽しかった思い出がたくさん詰まってるので、それも救いになっているんだと思います。やっぱり物作りにおいて“楽しい”がすごく大事。今回の曲も楽しみながら作らせていただきました。
“僕らなりのポップスを作る”こと
──1年半ぶりのリリースとなる新曲「Journey」は、「WAKE」(2023年リリースのアルバム「R&ME」収録)でもタッグを組まれたShin Sakiuraさんとともに作曲を手がけられています。どのように曲作りを進めていかれたのでしょう?
もう一度Shinくんと一緒にやりたいと思って、僕から連絡しました。Shinくんの自宅に行って、「ゴスペルをやりたい」と伝えたうえでリファレンスを共有しつつ「こういうニュアンスは面白いよね」と言いながら、僕の鼻歌をもとにメロディを作って。そこに歌詞を乗せてアレンジを固めてレコーディングしました。
──お二人の中でキーワードにされていたことはありましたか?
僕はゴスペルシンガーではないし、Shinくんもゴスペルアーティストではないですけど、2人とも昔からブラックルーツの音楽が大好きで、ゴスペルが持つパワー、エッセンス、バイブスを混ぜながら“僕らなりのポップスを作る”ことが大きな軸にありました。ド真ん中のゴスペルナンバーではなくて、「聴きやすさとか歌いやすさも重要だよね」と共通認識を持ったうえでメロディを作っていきましたね。
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今の自分だからこそ書ける歌詞





