「暑すぎるのでタクシーで移動します」 東京の徒歩はもはや試練か? 1日「14時間」の冷房都市が変える移動の常識とは

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世界最長となる1日14時間超の冷房稼働を記録した東京。行動時間を変えずに経済活動を維持する都市構造の裏には、連続する空調空間の存在がある。Z世代の33%が「暑熱回避」に交通費を投じるなど、公共交通は単なる移動手段から「温熱環境インフラ」へと変容。猛暑が都市行動と交通の価値を書き換える。

世界比較が映す東京の猛暑の実態

東京のタクシー(画像:Pexels)
東京のタクシー(画像:Pexels)

 ダイキン工業(大阪府大阪市)の「第2回 世界の空気感調査」は、世界11か国・12都市のエアコン所有者1200人(各都市100人)を対象に、2026年5月29日から6月5日にかけてインターネットで実施された(2026年7月21日発表)。調査では、近年の暑さの実感やエアコンの使用実態、生活行動の変化などを比較している。

 その結果、東京では暑い時期における1日の冷房使用時間が平均14時間12分となり、調査対象12都市で最も長かった。また、94%が

「5年前より暑くなった」

と回答している。実際、気象庁の記録によると2025年夏の平均気温偏差はプラス2.36度に達し、統計開始以降の過去最高を更新した。観測データでも2018~2020年平均と比較して、2023~2025年の猛暑日(35度以上)は約2倍へ急増しており、別の調査(seamint.実施、2026年7月6日発表)でもZ世代(概ね1990年代後半~2010年代前半生まれ)の94.4%が「子どもの頃より暑くなった」と答えるなど、気象データと生活者の強烈な実感が完全に一致している。

 この猛暑の常態化の背景には、地球規模の気候変動(地球温暖化)に加え、都市部特有のヒートアイランド現象が存在する。地表のアスファルト被覆や高密度化による風通しの阻害、そして人工排熱が引き起こす現象だ。

 夏季に冷房需要が増加すると、屋外への排熱をともなうため、結果としてヒートアイランド現象に拍車を掛けるという負のループを生み出している。東京の極端に長い冷房使用時間は、こうした気象現象と都市構造に深く起因しているだろう。

 一見すると、この調査はエアコンの利用実態を示したものに見える。しかし、数字を丁寧に読み解くと、変化しているのは冷房の使い方だけではない。都市の中で人がどのように移動し、どのような場所を選びながら生活するのかという行動そのものにも変化の兆しが見え始めているのだ。

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