GPIFに関する発言が注目されている片山さつき:財務相(時事通信フォト)
約300兆円を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の動向に、債券市場の注目が集まっている。政府が年金基金などによる国内投資を後押しする考えを示したことで、GPIFが国内債券の保有を増やすのではないかとの見方が浮上したためだ。実際に運用方針が変われば、長期金利や円相場、日本株だけでなく、将来の年金にも影響が及ぶ可能性がある。方針変更の可能性と、過去の事例とは。『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円が勝手に貯まる本』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第198回は、「GPIF」について。
発端は片山さつき・財務相の発言
いま債券市場で最大の話題が、GPIFです。私たちの公的年金の積立金を運用する組織で、その規模はなんと約300兆円。世界中の投資家が動向を見つめる、まさに市場のクジラです。
発端は7月10日、片山さつき・財務相の発言でした。「家計やGPIFをはじめとする年金基金が、日本の金融資産にさらなる投資をする方向で後押しする方策を追求したい」――そう語りました。
背景には、日本の財政への不安から国債が売られ、長期金利が一時2.9%と約30年ぶりの高さまで上昇していた事情があります。円相場も1ドル=162円台と、39年半ぶりの円安水準。この局面でGPIFが国債を買い増すとの思惑が広がり、10日は金利が急低下し、円は1円以上も円高に振れました。市場がいかに敏感になっているかがわかります。
もし方針が変わったら、影響は
GPIFは現在、国内外の株式と債券の4つに25%ずつ均等に投資しています。この配分を国内債券寄りに変えれば、巨額の買いが入ります。保有比率を1ポイント上げるだけで3兆円もの買い需要が生まれる計算です。
金利が下がれば住宅ローンの負担は軽くなり、円高が進めば輸入品の値段は落ち着きます。一方で、日本株から資金が抜ければ株価の重しになりかねません。そして何より大切なのは、これがわたしたちの年金の原資だということ。政治の意向で運用が歪めば、将来の年金にも影響しうるのです。
