亀梨和也「WAVE」 PR

2026年7月8日

亀梨和也「WAVE」1万字インタビュー|「今、見えている景色」を示した1stアルバム全曲解説

亀梨和也の1stフルアルバム「WAVE」がリリースされた。

昨年3月のKAT-TUN解散をもって所属事務所から独立し、11月に行われたラストライブでグループでの活動に終止符を打った亀梨。大きな転機を経て制作された今回のアルバム「WAVE」には、主演ドラマ「ストーブリーグ」主題歌の「Diamond」、日本テレビ系プロ野球中継「DRAMATIC BASEBALL 2026」イメージソングおよび日本テレビ系「Going! Sports&News」テーマソングの「ʼO sole mio」といった楽曲に加え、亀梨のこだわりが随所に詰まった新曲が多数収録されている。

このアルバムの制作を通じて、亀梨は自身のクリエイティブで表現したいこと、今見えている景色、これから進むべき道に改めて向き合ったという。音楽ナタリーではアルバムのリリースを控えた亀梨にインタビューを実施。KAT-TUN解散を振り返っての思い、アルバムに秘めた現在の心境をたずねたほか、収録曲全曲についても解説してもらった。1万字超えのテキストと撮り下ろし写真の数々を通じ、亀梨の現在地を感じ取ってほしい。

取材・文 / 真貝聡撮影 / YURIE PEPE

このアルバムができあがってみて亀梨和也のことを知れた

──昨年11月のKAT-TUNラストライブから約半年が経ちましたが、心境はいかがですか?

2001年にグループを結成してから、たくさんのファンやスタッフの皆さんに支えてもらいながら、本当にいろんな表現をさせていただきました。そんな中、ラストライブという形で、皆さんと大きな区切りを共有できた安心感はすごくありましたね。気付けば半年ほど経ってはいるんですけど、生活や時間軸が大きく変わったかというと、そこまでの体感はなくて。1つ言えるのは、最後までグループの一員としてステージに立ったメンバーに関しても、今は各々が自分の活動に誇りを持ってやる。それがこれまでの時間に対する、真摯な向き合い方だと思います。

亀梨和也

──ラストライブではKAT-TUNに対して「とにかく自分の青春だったし、KAT-TUNというグループが自分の進んでいく道の中のプライドであり、美学であり、誇りでした」と発言されていました(参照:「KAT-TUNは青春だった」ラストライブで51曲熱唱、すべてを燃やしド派手に出航)。約25年の中で培った経験や思いは、今どのように息づいていますか?

12歳で芸能の世界に入り、15歳頃からグループ活動が始まって、ちょうど20年前にデビューをしたわけですけど、そこで経験してきたことが今、独立して新たな歩みを進めていくにあたって、亀梨和也のクリエイティブに与える影響は“ゼロ”ではないと思ってます。

──どういうことでしょう?

これまでの経験を生かす / 生かさないって話でもなくてね。そこは切っても切れないというか、それを含めて僕でもありますから。時には過ごしてきた時間、やってきた経験が、新しいステップに進む中で意識せざるを得ない材料にもなってくるでしょうし。KAT-TUNで感じたこと、築き上げてきたこと、積み重ねてきたことを、これからも自分の中では大切にしたい。とはいえ、そこに囚われないクリエイティブをしていかないと意味がないと思うんですよ。そういう意味でもゼロではない、ということですね。

──ちなみに「こういう音楽を発信したい」といったアーティスト像はお持ちですか?

現段階でいうと「自分のアーティスト像はこれです」と強く押し出すつもりは正直なくて。今回リリースする1stアルバム「WAVE」にもつながってきますが、僕は根っからの主義主張が強くて今の環境や状況を生み出したわけではないんです。このアルバムができあがってみて「自分の現在地や表現したい形ってこれなんだ」と亀梨和也のことを知れた。どこを目指してるというよりも、僕も受け取り手の1人として「なるほどね、そういうことなんだ」と理解できたのはありますね。

──ご自身でも完成した作品から、今の亀梨和也を発見していく感覚だったんですね。

もちろん大きな枠組みはありつつ、どんなテーマ性とパッケージにしていくかは「夕飯はどうしようかな? とりあえずスーパーマーケットに行ってみよう」と出かけて、いざ食材を前にして何を作るか考える、みたいな(笑)。それと近い感覚で構築させてもらいましたね。楽曲もジャンルレスに幅広く集めてきてもらって、どういうものに自分の心が動いたり、きらめきを見つけたりして取りかかりたいと思えるか。それを確認しながら作品にしていきました。

──面白い取り組みですね。

そうなんですよ。これまではほかのメンバーもいましたし、どうしてもグループ単位の表現を考えたり、自分事じゃない目線が強くありましたけど、そのエネルギーを今回は自分だけに向けました。

──スムーズにできました?

違和感や不慣れな部分もあったんですよね。自分のマインドを強く出す──それをよしとしてこなかった、この25年間だったので。蓋をしていた自分を呼び起こす作業でもあってね。どういう表現をすると亀梨は心地いいのか?という、僕自身の深層心理と向き合った時間でもありました。すべてがスッキリしたというより、今もこの形が正解なのか不正解なのかわからないですけど、確かなことはこのタイミングだからこそ生まれたアルバム。これから皆さんに作品を届けつつ、自分を認識していく作業になるのかなと期待してます。

亀梨和也

──2023年に公開された映画「怪物の木こり」のインタビューで、亀梨さんは「自分のことは二の次で、グループのことを考えてきた」と話していましたよね。また、デビュー当初は「自分はこんなことをやりたい」というビジョンや野望があったけど、活動が進むにつれて「グループにどう還元していくか」に注力していったと。「自分の我を持たないようにしてきた」「自分が何をどうしたいか? それを見つめ直したい」と発言されていたのも印象的で、数年前から話していたことが今につながっている印象を受けました。

そうですね! 数年前から考えていたことが、少しずつ形になっている感覚があって。好き嫌いとは少し違うけど、「ここはこうだよね」「これじゃないよね」と自分主体でジャッジする作業が増えてきてる。それが刺激的ですね。広い視点を持ちたい、という思いもある一方で「こうじゃなくて、ああだよね」と自分の感覚を突き詰めていったことで、“自分自身を取り戻す”じゃないけど、40代を迎えて新たに進んでいく亀梨和也の形がちょっとずつ見えてきたのかなと。自分と向き合う時間を「WAVE」の制作で体験させてもらいました。

「ちゃんと進んでいる」と認識できたリード曲「WAVE」

──そんな大きな転換点となった、今作の全曲解説を亀梨さんご自身にしていただきたいと思います。まず、リード曲「WAVE」はどんな経緯で生まれたのでしょうか?

アルバムの顔となるリード曲を決めるうえで、いくつか自分の中で選択肢があって。例えば「パッと聴いて伝わる強度のある曲」「パフォーマンスとしてもわかりやすい曲」「これまでの流れを汲んだロックテイストな曲」とか。僕なりの表現で言うと“KAT-TUNと亀梨和也の間を埋めてくれる”楽曲ですね。

──どれもリード曲としてわかりやすく機能しそうな要素ですね。いわば王道の選択肢というか。

そうそう。でも、最終的にはその逆の曲を選ばせてもらいました。力みがない、間や余白がある楽曲を今回のリードにしようって。それはなぜか……なぜなんでしょう?(笑)

──答えを教えてくれるのかと思いましたよ(笑)。

ハハハ。僕自身も不思議ではあるんですよ。きっと欲していたのかな? 今は寄せては返す狭間にいる、とはいえ新しいことを始めなければいけない。ちゃんと今、この瞬間の自分を吐き出すために「WAVE」をアルバムのメインに持ってきたことは、自分としても「あ、ちゃんと進んでいるんだな」と認識できましたね。

──独特なウイスパーボイスを使った歌唱も、楽曲全体の余白や余韻を感じました。「WAVE」の世界観をどう解釈して歌われましたか?

基本的には “全力疾走の逆”をどう表現するかが課題でしたね。歌のキーでいえば、普段出している自分のキーよりも高いところを歌ってて。もっと下げれば楽に歌唱することはできたけど、そこは音の心地よさを優先しました。あと、歌はどれだけ力を抜けるかを意識しましたね。タイトルの「WAVE」とか、アルバムの資料に使ってもらっている水面のデザインもそうだけど、まさにそういう中にいるっていうのかな。引っかかる場所がどこにもない。海の中で足が着くところと着かないところがあったり、何か異物と接触することがあったり。ただ、それが何かはわからない。歌いながら、そういった“見えない点との出会いを探る”感じでした。

亀梨和也

──歌詞からは、生きているかどうか定かではない相手を思い続けるような、幻想的な印象を受けました。このたゆたう雰囲気が歌声だけじゃなくて、亀梨さんの心境にもマッチしている感じがします。

うんうん。立ち止まったからこそ見える景色ってあるじゃないですか。普通に生きていても空は移り変わるし、当たり前に時間も経過していくわけで。人の営みもそうですよね。動くからこそ移り変わるものもあるし、動かないからこそ移り変わっていくものを感じられる。その両方を今、感じているのかな。例えば、海に入ってただ浮いてるだけなのに、波に流されて景色が変わっていったり、立ち止まろうと思っても立ち止まれなかったり。結局、同じ場所に止まるためには、泳いでなきゃいけないことだってある。それらも含めて「WAVE」なんですよね。

──2曲目「Crushing On You」は“好き”という感情が、理性を超えて暴走していく瞬間を描いた楽曲です。ベースラインが気持ちよくて、大人っぽいムードをまとったダンスナンバーですね。

ライブのアクセントになってくれる曲だと思います。大人っぽいサウンドと、おしゃれな今どきっぽさが入ってるところも素敵ですよね。当初はサビの歌詞がすべて英詞だったけど、あえてちょっと遊びを入れたいと思って。「すきバグる」「無理エグい」のフレーズは、作詞・作曲・編曲をしてくれたUTAくんと、レコーディング直前までさまざまなワードを出し合いながら形にしました。「WAVE」とのつながりも持たせながらフックになる曲を入れたい。それもあって「Crushing~」を2曲目に配置してます。